Perverse second
大きく息を切らしながら玄関のドアを大きく開くと、そこには揃えられた三崎のヒールがある。



ここにいるという証が堪らなくて、乱れる呼吸も気にせずにリビングにいた三崎に元へと向かった。



「……おかえりなさい……?」



はにかんだような笑顔でそう言って迎えてくれる三崎が可愛くて愛しくて。



「……ただいま」



言うと同時に俺は三崎を優しく抱きしめた。



俺の胸に頬を当ててじっとしている三崎に対して、「もう逃げねぇの?」と意地悪な質問をしてみる。



「逃げないよ」



そう答えたくぐもった声が嬉しくて、さらに強く抱きしめてしまう。



「どうだろ。アノ時も逃げないかって聞いたけど、お前答えなかったし」



思えばあの時、三崎の気持ちを聞くことなく強引に抱いてしまった俺が悪いんだけど。



けれど三崎の眼差しも身体も、全てで俺を求めているような気がしたんだ。



「身体が答えだって思ったけど、次の日顔合わせた途端に、お前逃げたからな」



「あれはっ。柴垣くんは本気じゃないって思ってたし」



「はあっ!?」



信じられない答えにバッと三崎を引き剥がしてまじまじと見つめた。



「え……本気で言ってんの……?」



「え?」



そうだろうとは思っていたけれど、あの時も今も、本当に何一つ気持ちが伝わっていなかったのか。


「マジで信じられねぇ……」



俺はがっくりと肩を落とし、ソファーに座ると頭を抱えてしまった。
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