Perverse second
三崎は言い出しにくそうに口籠りながら口を開く。



「あの日、ホテルで……」



三崎の口からあの日の話が出るなんて驚きだ。



しかしどちらかと言うと、恥ずかしがっているというより拗ねているという感じだ。



俺はあの時、なにかやらかしたんだろうか?



「私の事一人残して、サッサと部屋に帰ったくせに」



恨めし気にそう言われて、俺の顔から血の気が引いた。



やらかしてんじゃねぇか、思いっきり。



「ちっ!違うっ!それ全然違うからっ!誤解だ誤解っ」



俺の勢いに三崎が目を丸くして驚いている。



それほどまでに俺は取り乱し、頭や手をブンブン振って思いっきり否定する。



「あれはな?置いていったとか残していったとか、そんな気持ちの入った結果じゃねぇんだよ」



「全然意味がわからない」



恨めしそうな目付きで見上げる三崎にどう説明したらいいのだろうか。



俺のあの間抜けな失態を。


できればあのことについては触れずにいたかったが、三崎がそれを置いて行かれたと勘違いしてショックを受けているのなら、情けなくても言わなければならないだろう。



「お前はぐっすり眠ってたし、俺も着替えようと思って部屋出たんだよ。そしたらキー持って出るの忘れて。結果、締め出されたってわけ」



「…………それだけ?」



「それだけって言うな。それ説明しようと思ってたら、お前は何も聞かずにいきなり全部を無かったことにしたんだよ」



なんて身勝手な言い分だろうとは思うけれど、気恥ずかしくて俺は少しだけむくれてしまった。
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