Perverse second
「福岡だぁ!」
空港から出ると、三崎は何かから解放されたかのように腕を広げ深呼吸した。
空気なんて何一つ変わりはしないのに、空気が美味しいというタイプだな。
ちょうど回ってきたタクシーを止め、トランクを開けてもらって、
「三崎!行くぞ!」
福岡到着に浸っていた三崎に声をかけた。
「待って!」
慌てて引っ張って来た三崎のキャリーをヒョイっと持ち上げてトランクに積み込む。
俺の倍くらい重たい気がしたけど、いったい何が入ってんだ?
「先にホテルに行くぞ。それから展示会場だ」
運転手に行き先を告げて三崎にそう言った。
「福岡店には行かないの?」
「今回は営業と企画は全部会場だ。福岡店には営業事務と物流事務しかいねぇ。荷物置いたらそのまま直で会場入りだとさ」
「そうなのね…」
三崎は残念そうに眉を下げる。
電話口でもいつもコミニュケーションを取って仲良く話してるもんな。
営業以外の同期もいることだし、今回もみんなに会いたかったんだろうな。
「心配すんな。夜は福岡店総出で飲み会だそうだ」
「本当に?嬉しい!」
目を大きく開いてキラキラさせる三崎を見ると、自然と笑みが漏れた。
そんな自分がくすぐったくて、やっぱり意地悪にすり替えてしまう。
「電話さえ繋がってれば昨日の夜に教えられたんだけどな」
「…そのネタ、まだ続くの?」
「今日1日は覚悟しとけ」
「……」
三崎に苦笑いも可愛くて、俺は手で上がった口元を隠した。