その先へ
「上手い!円香ちゃん、料理上手だね。...良かったな、奏斗~」


出したつまみを誉めながら食べてくれる熊さん、じゃなく雅也さん。奏斗は『まあな』なんて言いながらお酒を飲んでいた。少し照れているようにも見えた。



「あーあ、アイツもこんだけ料理が上手かったら良かったのにな。まったく下手でさ、食えたもんじゃないよ」
「結婚前に作ってもらわなかったのか?」
「料理勉強中だからって。楽しみにしてて、って言うから楽しみにしてたんだよ。騙された」
「なんだそれ。お前バカだな~」


話が見えないからポカンとしていると、



「...あぁ、コイツ今ケンカして嫁さん家出中なんだよ」
「そうなんですよ。出ていっちゃいました。新婚ホヤホヤなのにね」
「あぁ...それは大変ですね」


だからさっき傷心って言っていたのか。
何か嫌な予感がした。




< 11 / 56 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop