その先へ
「奏斗。私、本当に奏斗が好き。大好きで、...愛してる」
「オレもだよ!オレも、円香が...」
「だからね、ずっと一緒にいたいって、その為に、...結婚、したかった」


『結婚』という単語を出すと、奏斗の表情が変わった。
それを見て私は笑ってしまった。


「私はね、結婚したいのは、奏斗だからなの」
「っ...」
「奏斗と夫婦になって、子どもができて家族になって、おじいちゃんおばあちゃんになっても仲良い二人でいる...。そんな風になりたいって、そうなるための約束をしたかったの」
「円香...」
「奏斗と同じ未来を見て進んでいきたかった。そう願っていたんだ」


そう、約束が欲しかった。
二人で生きていくための紙切れ1枚の約束。
永遠なんて私だって信じているわけじゃない。
だけどその紙切れ1枚で得られる、奏斗は私のもの、私は奏斗のものだという証と安心が欲しかった。


「でも、奏斗は違った...」
「円香...オレは」
「違う未来を見ているのなら、一緒にいるのは、..お互いに、意味ない、と、思うから、だから。もう、別の道、進んだほうがいい」
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