その先へ
彼は、奏斗は、前から結婚願望がないと公言していた。


思春期にご両親が離婚した。かなりドロドロした離婚劇だったらしい。
それですっかり結婚に対して夢も希望もなくした、ということだった。


それを聞いた時はまだただのサークル仲間だったし、奏斗も彼女とかいなかったから、そのうち考えが変わるよ、なんて流していた。


恋人になってからその話をしたことはなく、私も奏斗のことがただただ大好きで、一緒にいれればそれでいい、と思っていたから聞かなかった。


でも、それは最初の話だけで。


一緒に暮らし始めてからは、当たり前だけど毎日が『デート』ではなく、『生活』になってくる。



お互いに仕事をしてる分、家事は分担。食事の支度は私、片付けは奏斗。洗濯は私で、お風呂の掃除は奏斗。
その他は休日に二人でやる。


生活費は、奏斗の方が収入があるから、半々よりも多く出してくれている。



はっきりいって、共働きの夫婦のような生活だ。
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