その先へ
未来を怖がるな?
オレと円香を信じてみる?



『それって私の気持ちを信じてない。奏斗の気持ちも信じてない』



上川さんと別れた帰り道。あの夜、円香が言った言葉が甦った。



円香が居なくなる。
オレの目の前からだけじゃなくこの世界から。


考えただけで寒気がした。


円香が出ていって1週間は経ったのだろうか。
もちろんその間、円香からの連絡はない。


オレはスマホを取り出しメッセージアプリを開いた。


『円香、大丈夫か?』


メッセージを送ったけれどしばらく未読のまま。


『円香、ケガとか病気とかしてない?』
『ホント大丈夫?』


続けてメッセージを送るけれど既読にすらならない。


不安で心臓が痛いほどになった。


『お願い、円香。無事かどうかだけでも教えて』


情けなくたっていい。
すがり付くような文章を送って、返事をひたすら待った。


『無事です。心配しないでください』


そんな返事が来た夜中、心底ホッとしたオレは、涙が出ていることに気づいたんだ。






< 34 / 56 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop