極甘同居~クールな御曹司に独占されました~
お嬢様との対決
それから半月──同棲開始から数えれば一か月半が過ぎた週末、私は鼻歌を歌いながらスーパーのカートを押していた。
高梨さんのマンションから徒歩数分の場所にある、彼が私に預けてくれたカードの店だ。


高級住宅街にあるスーパーはブランド野菜しか置いていないのだろうと思いきや、健康志向を反映してか、そこは農家から直接運び込まれる採れたて野菜が充実していて、行く度にワクワクしてしまう。


あれから高梨さんは私の作ったご飯を食べるようになった。
あの時は〝たまに〟と言っていたくせに、今ではほぼ毎晩食べている。

そのせいで、彼と喋る時間は格段に増えた。

そのだいたいは仕事の話──現在の主力商品に対するモバイルメーカーの無茶な改善要求とそのクリア方法であるとか、モバイルの次に来る用途は何だとか、そういう色気のない話題だ。
彼は技術を熟知していて、製造工程で使う溶剤の種類や濃度といった専門的なことについても目先の変わった意見をくれたりする。
彼と議論するのはとても楽しかった。




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