極甘同居~クールな御曹司に独占されました~
その夜、私は寝室で膝の上に彼からのお土産を乗せて眺めていた。
気分が浮ついてしまい、和久井梨乃の一件を彼に報告するきっかけがうまく掴めずじまいだった。
でも彼女はわざわざ彼の留守中を狙ってきたのだから、言わなくてもいいのかもしれない。
あのやりとりで縁談が動くこともないのだろうし、破談に転ぶのも縁談が進んでしまうことも、両方が怖かった。
だってようやく馴染んできたこの同棲がもう少し続いて欲しいから。
何種類かのリップの中からキャラメルフレーバーを選んで唇に塗ってみた。
蕩けるような香りとともに、ほんのりと甘さが唇から染みてくる。
指で触れた唇は花びらのように柔らかく、まるで繊細な女の子に戻ったような気分になった。
彼はやっぱり出来た人だと思う。
さりげないようでいて、お化粧ができないと嘆く私にぴったりのものを選んでくれた。
心が走り出してしまいそうな気がして、目を閉じて息を止めた。
叶わない夢は見ない。
ただこの同棲の間だけ、彼が気づいてくれるぐらい、綺麗になりたい。
それだけだから──。
ところがそんな思いを挫く出来事が私を待ち受けていた。
気分が浮ついてしまい、和久井梨乃の一件を彼に報告するきっかけがうまく掴めずじまいだった。
でも彼女はわざわざ彼の留守中を狙ってきたのだから、言わなくてもいいのかもしれない。
あのやりとりで縁談が動くこともないのだろうし、破談に転ぶのも縁談が進んでしまうことも、両方が怖かった。
だってようやく馴染んできたこの同棲がもう少し続いて欲しいから。
何種類かのリップの中からキャラメルフレーバーを選んで唇に塗ってみた。
蕩けるような香りとともに、ほんのりと甘さが唇から染みてくる。
指で触れた唇は花びらのように柔らかく、まるで繊細な女の子に戻ったような気分になった。
彼はやっぱり出来た人だと思う。
さりげないようでいて、お化粧ができないと嘆く私にぴったりのものを選んでくれた。
心が走り出してしまいそうな気がして、目を閉じて息を止めた。
叶わない夢は見ない。
ただこの同棲の間だけ、彼が気づいてくれるぐらい、綺麗になりたい。
それだけだから──。
ところがそんな思いを挫く出来事が私を待ち受けていた。