極甘同居~クールな御曹司に独占されました~
***

有香から電話があったのは、まさに彼がアメリカ出張に発ったその日だった。


『柚希、今、電話いい?』


「うん。なあに? 珍しいね。もうすぐ研修日だから会うのに」


気楽な声でそう言いながら、私はこの電話が悪い知らせであることを直感していた。


『あの……長谷川さんのことなんだけどね。迷ってたんだけど、やっぱり言っておいた方がいい気がして。長谷川さん、もうすぐ帰国するの』


「うん。それは事業所の人たちが言ってたから知ってるよ」


深刻そうな有香の声からもっと悪い知らせを予想していた私は少しホッとして答えた。
でも、本題はここからだった。


『今週末、長谷川さんがいる研究所の設立五十周年記念パーティーが開催されるらしいんだけど、それに高梨さんも出席するの。そのパーティーを最後に長谷川さんは退所して帰国するんだって。だから二人が会っちゃうのよ』


「……」


何も言えなかった。
目の前がゆらりと傾いた気がして、手近な椅子に腰かける。


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