極甘同居~クールな御曹司に独占されました~
「だから彼にふさわしい格をつけようと思ったの。社長の覚えがいいように、社内公募で華々しく留学した。動機がかなり不純でしょ? みんなには内緒ね」


でも、不純な動機だけでそこまでできない。
厳しい選考を突破し、現地でも立派な成績を修めたのは、彼女に強い意志と能力と仕事への情熱があるからだ。
私の憧れの人あることに変わりはない。


「実績を積んで任期満了。彼が縁談を避けてるって情報は聞いていたし、ようやく潮が満ちたと思ったの。ニューヨークで再会して、私の変わらない気持ちをほのめかしながら誘惑したのよ」


「……」

そんな話は聞いていない。
長谷川さんを見つめる私の顔が引きつった。
こんな美人に誘惑されたら、大抵の男性は負けるだろう。

顔面蒼白になっている私に悪戯っぽく笑いかけてから、長谷川さんはさばさばとした口調で言った。


「結果、あっさり振られちゃった。好きな女がいる、ってね」


彼女は私の表情を楽しむように笑っている。


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