極甘同居~クールな御曹司に独占されました~
さらには母親と遭遇したことによる恐怖も私を苛んだ。


彼の結婚の邪魔者だということで、消されたらどうしよう?
私に邪魔する気は一切ないのに。
どうしてもこの仕事を失いたくないのに……。


羞恥や不安でのたくりながら二週間が過ぎたけれど、今のところ上司に呼び出されてリストラを言い渡される気配はない。


ただし、私の病欠を経営企画室長で次期社長である高梨さんが連絡してきたことは、部内で様々な憶測を呼んだらしい。


「森下、まさか御曹司を釣り上げたんか?」


職場復帰すると、横山課長からは下品な質問が投げられた。
けれど横山課長はその質問のあと、しげしげと私を眺めてこう言い放った。


「ま、ないわな」


私が否定する前にさっさと質問を取り下げられる、女度の低さが侘しい。


それはともかく、とりあえずあの悪夢はお咎めなく無事に過去になったらしい。
どこかにモヤモヤを残しながらも、元通りの平凡で平和な生活に戻りつつあった。




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