極甘同居~クールな御曹司に独占されました~
彼は基本、不愛想であまりしゃべらない。
だから彼の方から何か話しかけてこない限り、私は邪魔にならないよう黙ってコーヒーを飲んでいる。

彼が新聞を読んでいる時など、たまに私の存在を忘れているのではないかと思うほどだ。
いや、きっと忘れているのだろう。


男性に対するスキルがない私はこの事務的な関係に安堵しつつ、ふとした時に考えてしまう。

もし相手が私でなければ、違っていたのかな……と。

潜在的な女としての自信の無さは、ふとした時に頭をもたげてくる。



「だったら、もっと柚希の方から打ち解けないと」


「打ち解ける必要なくない? 一時的な名義貸しみたいなものなんだから」


そう言葉にすると納得した気分になった。
この状態を変える必要はないし、私も彼も望んでいない。

むしろ彼は煩わしいことを避けたくて〝御曹司嫌い〟の私に白羽の矢を立てたのだから。


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