【短編】親愛なる夜

二人

ねぇ、仁美…僕らは

知り合って半年後に
一緒に暮らしはじめた
ガラの悪い二人だ

二人のアトリエで
指を絡めて、キスをした

二人のアトリエで
心も体も、裸で過した

二人のアトリエで
ブランケットに包まって
クスクス笑った

仁美は
コーヒーを飲みながら
絵を描く僕の後姿を眺めて
いた

気がついた僕に、仁美は
コーヒーを入れてくれた

「人が入れてくれたコーヒ
ーはおいしい」
と言って、僕は笑った

二人はいつも
同じ方向を見ていた

二人はいつも
同じ速度で歩いていた

二人はいつも
同じ温度で生きていた

もしも
僕が泣きそうなときは

きっと
仁美は励ましてくれる

もしも
仁美が疲れているときは

僕は黙ってそばにいるよ

そして
明日が今日になる

そんな未来が続くならいい
なって思った
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