【短編】親愛なる夜
第三章『夜』

夜のはじまり

一年前の今日も、雨が降っ
ていた。

僕が、
「ちょっとイイ感じのカフ
ェを見つけたんだ。たまに
は、待ち合わせをしよう」
と言って、仁美と次のデー
トの約束をした。

それが、カフェ『ゆるり』
だった。

約束の日、仕事を終えた僕
は、『ゆるり』で、仁美が
来るのを待っていた。

でも、約束の時間になって
も、仁美は現れなかった。

ケータイにも、メールにも
応答はなかった。

僕は、『ゆるり』を出たり
入ったりしていた。

心が、ざわついていた。

ケータイが鳴った。

『仁美は、『ゆるり』に向
かう途中で、車のスリップ
事故に巻き込まれて、短い
人生を終わらせていた。…
僕の夜がはじまった』
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