心をすくう二番目の君
進展
大型連休も後半に入った。
社の公休はカレンダー通りだが、ゴールデンウィーク中日は工事が動かない為、休暇の取得を推奨されている。
長期の休みは有り難い反面、今年は少しだけ残念だった。
当然ながら、あれ以来中薗さんと顔は合わせていない。
高校時代からの親友である紫夜《しよ》と一泊の温泉旅行へやって来た。
特急の車窓からは、のどかな田園風景が流れ行く。
「花澄、春から異動になったんだっけ」
「異動って言っても、仕事内容は殆ど変わらないよ」
「私のとこは社員のおっさんが増えちゃってさ~。今、教えてんの。お守りみたいなの、ほんと」
お互い日々忙しくしており、久々の再会だ。ポテトチップスを摘みながら他愛もない近況を報告し合う。
紫夜は此処数年ショートカットが定番になっていて、今日も大ぶりのピアスがよく似合っている。
笑顔が爽快で、元気付けてくれる大切な友人だ。
ひとしきり笑い合った後で、唐突に爆弾が投下された。
「異動になっても、まだ例のクズ男と続いてんの」
相変わらずの歯に衣着せぬ物言いに、思わず身を引き、たじろいだ。
「クズ男って……」
彼女の言葉を繰り返したが、異論はなかった。