against
「――戻りたい?」

自分が発した言葉に頭が後から追い付く感覚。

俊也は頭を横にふった。

「ずっとそう思ってきたけど、いつかまたあの時のような時間が戻るんじゃないかって。でも俺はあいつらを恨んでた。戻るわけなんかねぇよな」

「そんなこと……」

“そんなことない”って言ってあげたかったけれど、そんな慰めにもならない無責任な事を簡単に言えるくらい幼稚ではないし、かと言って誰かを救う言葉なんて私はわからない。

壊れてしまった関係を戻す方法もわからないし、戻ることなんてあるのだろうか。

時は進むばかりで同じ形を保てないのではないだろうか。

確かにあった大切な時間は、誰も知らないなかった時間のように消えてしまうのだろうか。

そう思うと、今のこの時間さえどこかへ消えていくようで、悲しかった。



「バスケもうやってないの?」

ふと、見た俊也の顔は悲しさを消し去るような穏やかな表情だった。

「あぁ、つか、出来ない。したくても。この小さな街の庶民の息子の俺なんか、学校でやれなきゃ、ボールすら突く場所ねぇもん」

ちょっと拗ねたように言う俊也は可愛かった。

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