1番になりたい。
1番になりたい。
「千葉結菜フランス音楽コンクール優勝」
「世界から注目!天才ピアニスト千葉結菜特集」
「千葉結菜に密着!」
今日も結菜のニュースから朝が始まる。
結菜は、すごい。知ってるそんなこと、昔から私とは何もかもが違ったもん。
「愛菜ぁーそろそろ学校行くよー」
「あ、うん」
お母さんに言われてあわてて家を飛び出す。
あーあ、高校では中学の時にみたいにならないと良いなぁ。
私は千葉愛菜。結菜じゃないからね。結菜の双子の姉。
ちなみに、結菜は私と違う音楽の専門学校。
私は結菜と比べられるのがすごい嫌で同じ中学だった人が誰もいない私立の高校に入った。もちろん普通科。
どうか、結菜のこと知りませんように!

「あ、1組か。」
「あ、1組ですか!?」
隣にいたボブの髪の子が話しかけてきた。
「うん、1組だよ」
「良かったぁ〜うち、名古屋から来て東京に友達いなくて。」
「名古屋?そんなに遠いとこから来たの?」
「まぁ、色々あって。あ、名前!うちは、北条沙夜
さよって呼んで!」
「私は千葉愛菜。よろしく」
「千葉愛菜???え!もしかして、妹は、千葉結菜!?」
一気に視線が集まる。ちょっと〜!声が大きい!もー仕方ない!
「そうだよ。」
「え!!!やば!サインほしい!」
「私も!」
「家に遊びに行ったら結菜ちゃんに会えるの!?」
クラスみんなが興奮ぎみ。あーあ、やっぱりこうなった。沙夜が小声でごめん。っていってるけど大丈夫。沙夜のせいじゃないよ。
「サインはまだ、書いてるところ見たことないから、分からないかな?家にはいるけど、ほとんどレッスンだから会えないかも」
「そっかぁ!ありがとう!」
結菜めあてで近寄ってくる人は、たくさんいた。けど、愛菜、私めあてで寄ってきたのは沙夜のみ。
結菜はやっぱりどこに行っても人気者だよ。
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