地獄的恐怖鬼ごっこ
パカ、という音と共に何かが出てきた。

箱が空いてしまったのだ。

「うわぁぁあ!!」「わっ!!」

私が驚いて叫んだ。正木を引いて逃げようとしたが、何かにつまづいて後ろに尻餅を付いた。

「……え」

間近に正木の顔。お互いの息が顔に当たるくらいに近い。

正木が飛ぶように立ち上がった。

「罠じゃなかったな」

そう言って、まるで何もなかったかのように箱の中身を調べ始めた。

いや、もしかしたら、本人も気にしているかも。

そういう風に考えている間にも、私の顔は少しだけ熱くなり、ぽーっとしている。

今にでも倒れちゃうんじゃないか、というくらいに頭が真っ白になった。





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