外ではクールな弁護士も家では新妻といちゃいちゃしたい
「だが……七瀬はあくまでも俺の妻だから。それは絶対優先で頼む」

「っ」


奏介が続けた言葉が、どこか拗ねているように聞こえたから、私はドキッと胸を弾ませた。
熱くなる頬に手を当て、ちょっと照れくさいのを隠して「はい」と返事をする。
私の返事を確認して、奏介はふっと口角を上げて微笑んだ。


「よし。それなら、夜はどこかで食事してから帰ろうか」


そう言って、青に変わった信号に従い、ゆっくりとアクセルを踏み込む。


「あ、奏介」


私は助手席から少し身を乗り出し、呼びかけた。


「なに?」

「言ってるそばから。私は奏介の妻なんだから。家に帰ったら、ちゃんと食事の支度します」


勢い込んで言い募る私に、奏介は一度チラリと目を遣った。
けれど、すぐにまっすぐ前に向き直ってしまう。


「無理するな。丸一日、慣れない茶会でヘトヘトだろう?」


ズバッと言い当てられてしまい、私は「う」と口ごもる。


「一日頑張った妻を甘やかすのは、夫である俺の役目だろう? いいから、甘えてくれ」


涼しい顔をしてさらりと言われた優しい言葉。
私の胸がドキッと音を立てて跳ね上がり、そのままきゅんきゅんと疼いてしまう。
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