外ではクールな弁護士も家では新妻といちゃいちゃしたい
もちろん、彼を見ても、すぐに『私の旦那様』とは思えない。
『弁護士の周防先生』の方がしっくりくる。
と言うのも……。入籍後、私たちはまだ夫婦らしい生活を始められていないからだ。


結婚が決まった後、奏介がこの裁判を担当することになり、それからずっと、彼は仕事に追われていた。
結婚式はちゃんと挙げたかったけど、彼の方は準備に立ち会える状況になく、結局挙式は後回し。
新婚旅行も夏休みまでお預け。
入籍を済ませて新居に引っ越しするだけで、GWは終わってしまった。


GW中もその後も、今日の控訴審を控えた奏介の帰宅は、毎晩日付が変わってから。
朝も私を起こさずに夜明け前に出てしまうことが多く、しかも最終弁論前のこの三日間、奏介は事務所に泊まり込みだった。
この二週間すれ違いっぱなし。
同じビルで働いているのにほんのちょっと見かけることもなく、こうやってゆっくり姿を見るのは、本当に久しぶりだった。


ちゃんと食べてるの?とか。
眠れてる? 身体の調子は大丈夫?とか。
ずっとずっと心配だったけど、こうして法廷で見た感じ、やつれた様子はない。
私は彼の堂々とした姿を見てホッと胸を撫で下ろした。


判決を待つ奏介は、落ち着き払った和やかな表情を浮かべている。
きっと、この控訴審でも『勝ち』を確信しているからだろう。
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