外ではクールな弁護士も家では新妻といちゃいちゃしたい
私、周防七瀬(すおうななせ)。
大学卒業後、大手不動産会社に就職して、今年で勤続六年目。
夏に二十八歳の誕生日を迎える。


所属は、会社が所有するいくつかのオフィスビルの管理部。
普段は、そのうちの一棟のビルで、総合受付嬢をしている。


そんな私が何故畑違いの裁判を傍聴しているか、と言うと。
傍聴席から向かって右側、被告側電機メーカーの代理人を務める弁護士が目当て。
彼の裁判を、一度この目で見てみたかった……という、ちょっと不純な動機だった。


私は、寸分の隙もなくスーツを着こなす、涼しい表情の弁護士を見つめた。
サラリとした癖のない焦げ茶色の髪は、襟足がすっきりと短く、清潔感のあるスタイルだ。
少し上がり気味の眉は凛々しく、涼やかな印象を与える切れ長の目が男っぽい。


品のある端整な顔立ちで、真面目な人柄が滲み出ている。
百八十センチ近い長身で、弁論に立つ時も力強く頼もしい。


彼の名は、周防奏介(そうすけ)。
大学在学中に司法試験に合格して、三十二歳という若さですでに十年の経歴を持つ、エリート中のエリートだ。


私が勤めるビルのテナントである、大手法律事務所に属するアソシエイト弁護士で……私は二週間前、GWに彼と入籍したばかり。
こうやって、仕事中の彼を見にくるのも、本当はまだまだ照れくさかったりする。
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