扉の向こうはいつも雨
 少し引っかかりを感じるものの奥まで差し込んだ鍵を思い切ってひねってみた。
 金属が外れる音が響いたのを聞いて、つい手を離してしまった。

 開いた……かもしれない。

 鍵から離れた手は急に震え始めて鍵をもう一度つかむことは出来なかった。

 見かねた宗一郎が横から手を伸ばし鍵を引き抜いた。
 そして鍵は引き出しの上に置くと引き出しに手をかけた。

 ギシギシと音を立てながらも引き出しは手前へと動き始めた。






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