きみが赤を手離すとき。



そして次の日。風邪は先輩のおかげですっかり完治してしまった。


先輩に差し入れのお礼にと、コンビニのチロルチョコを大量に買った。

私に女子力があれば手作りクッキーでも焼いて渡したいのが本音。でもオーブンの使い方から学ばないといけないほど料理をしない私に、手作りクッキーは富士山に登るぐらい難易度が高い。


それから友達たちにもメッセージのお礼を言って、昼休み。私はすぐにいつもの美術室で先輩を待つ。

椅子に座って、チロルチョコを机の下に隠した。べつに机の上に出しててもいいんだけど、なんとなくそれは色気がなさすぎるなと思って。

すると、スマホが短く振動して、先輩からメッセージが届いた。


【今日は美羽と食べるから、ごめん】


……ドクン。

私は暫くその文を見つめたあと、「……はあ」と椅子にうなだれる。

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