無題 〜奇跡の7つ子〜
「いいかい?」
私は、リビングにみんなを集めて言った。
最後のミーティングみたいなものだ。
「明日の夜12時、遅鳴、秘鳴、フェアリー、フェルリー、チェシャ、ウサギと私は、あの大きな大門まで行く。
持ち物は、各自で小さくてかさばらないもの。ケータイは、繋がるかわからないけど、持っていってもいいよ。
次の目的地は、多分、ギークルマジニ。」
「ギークルマジニ???」
たくさんの?を浮かべて、みんなが口を揃えて言った。
「ギークルマジニは、機械仕掛けの世界。つまりは、機会が沢山ある世界って言うこと。」
ギークルマジニの説明を終えた後、私は、ひとつため息をついてから、
「そこで、何をするかなんてわからないけど、まだ、私は、マッドを見つけ出してないし、なにかしなければならない気がするんだよね。」
と言った。
「今更だけどさ、ついてきてくれる?」
「当たり前でしょ。」
即答でみんなに言われた。
「ここまで、関わったのに、ついて行かないわけがない。」
秘鳴が誇らしげに言った。
「好きな人を、ほっといていけるわけが無い。」
と、遅鳴に言われた。少し照れくさい。
「アリスについて行かないと帰れないからね。」
と、少しムスッとしてウサギに言われた。
(ついてこなくても帰れるけどね。)
「僕は、アリスの相棒だから。ついていくのは、当たり前。」
と、チェシャに言われた。少しトーンが低めだった。
みんな、相変わらずだな。
そう思った。
「よし!じゃあ、行こっか!!」
と私が言って、
「明日だけどね。」
と、ウサギが突っ込んだ。
しばらくの沈黙の後、笑いが起きた。
私は、そんな日常が、好きだな。
こんな毎日が好きだなぁ。
と一人思った。
*その日の夜
「壱鳴、愛鳴、詩鳴、とーな、架鳴。これを持っておいてくれる?」
私は、その日の夜に、とあるものを五人に渡した。
「なに?これ。」
とーながたずねる。
「これは、アリエル特製通信機。」
みんな、わからないっていう反応をしている。
「世界が違っても繋がるし、ここを開くと、パネルが出てきて、ここから相手の姿が見れるようになっているんです。電話の姿が見れるバージョンみたいなのね。」
「おぉ。」
「えーと。使う時は、相手の姿が見たくなった時、緊急事態が起きた時、だから。」
「これ、いいところは、充電いらずで、小さくて、ネックレス式だから、身に付けられるという所。悪いところは、デザイン?」
そう、おふざけで、アリエルが、すべて違うデザインにした。
「えーと。愛鳴に渡したのは、星。架鳴に渡したのは、がいこつ。壱鳴に渡したのは、猫。詩鳴は、野球ボール。とーなは、うさぎ。これでもいい?」
なんとなくのイメージで渡したんだけど。
そしてみんなの顔を見てみると、ギョッとした。
みんな、顔を輝かせて、
「ありがとう!!!」
と言ってきた。
私は、衝撃で、
「う、うん。どういたしまして。」
と言った。
その日は、みんな、静かに眠ったようだった。
私も、安心してすぐ眠った。