冷たい蜂蜜
変わらない毎日
彼は実家暮し



彼の母は私がほとんど毎日家に訪ねてくるのを知っている。



それどころか私を娘かの様な対応をする




私が小さい頃から変わらない彼の母の優しい言葉


胸が熱くなる。特に意味のない行為と言葉だと思うが私はそんな彼の母にあまり惹かれなかった。


あまり惹かれなくなったのはいつごろだろうか。



痛みさえも感じない言葉が好きだったのは
覚えている




そんなことを考え思い出している内に
彼の家に着いた。





いつも通りにインターホンを鳴らす





彼の母が「いらっしゃい~」と軽く言う




「失礼します」と私も軽く返す。



彼の部屋に向かう、



まるで自分の家に帰るかのように。




ドアの前につく




私はノックする




彼がドアを開ける





「あ!いらっしゃいー!」




今日はテンション高いのだろうか

声が少し明るく感じた。




いつものように彼の散らかった部屋に入る。




私は散らかった部屋はあんまりだったが
彼なら許せていた。


いわゆる慣れというやつだ。



気にせずソファーに腰掛け、カバンを置く。




彼は相変わらずパソコンをカタカタ鳴らす



私はそんな彼の邪魔をしてはいけないと話しかけたりしなかった。




私は冷たいのだろうか、それとも遠慮という名の場を悪くしてしまう行為をしているのか、と考えたこともあった。

そんなことを考えてる私はまだまだだと思った。






考えてることを遮るかのように彼が話しかける




「今日仕事どうだった?」




私は声を少し張り明るく返す


「毎日大変かなー!そういえばしなきゃいけない仕事残ってたからするね」



彼はパソコンを見ながら
「そっかー、あんまり無理するなよ」と言った。




正直私は彼のこと意地悪だと思った。




まるで冷たいだけどどこか甘い、まさに蜂蜜
だと思った。




私はそんな彼を自分と重ねていた。





彼の仕事は、、



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