強引上司に捕まりました
「初めて来ました。夜景、凄いですね!」
「俺も初めて来た」
さっきまで悶々と考え込んで沈みかけていたのに、一気にテンションが上がる。
目の前には一面に都会の夜景がキラキラと輝いている。
「幸せです。恭平さんと一緒に見られて」
つい、ポロっと本音が出た。
非日常の景色がそうさせるのかもしれない。
「不意打ちすぎる」
ボソッと呟く課長を見上げると、片手で口元を押さえている。
「どうかしました?」
「なんでもない」
そう言う課長の頬が少し赤い気がしたけれど、気のせいだったのかもしれない。
ベンチに座って夜景を堪能した。
お互い無言だったけれど、なぜか心地いい。
閉館間近になり、いつの間にか私たちだけになっていた。