お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
【ご購入、誠にありがとうございます。各フィギュアの製造個数は、シークレット以外は同じです。ランダムに箱入れしておりますので、同じものが続いてしまうことや、ご希望のものが出てこない場合もあります。そこを含めて、たまごんチョコレートの魅力であるとーー】


なかなか全種類揃わないから面白いんだよ、という思いを丁寧な文章で返信し終えたら、隣の席で軽量粘土をこねている中本主任が、「こんな感じかな」と独り言を呟いた。


彼は丸眼鏡でひょろりと細身の体型をしている三十三歳の男性で、白いワイシャツの上に年季の入ったヨレヨレのエプロンを着ている。

それは粘土を触ったり、絵の具で着色したりと、工作するのも彼の仕事のうちであるからだ。

新シリーズのフィギュアを考える際に、ただ紙に書くよりも粘土で試作しながらの方が、いいアイディアが浮かぶ、ということらしい。


私と視線が合った中本主任は、「織部さん、これをどう思う?」とにこやかに、意見を求めてきた。

その手にのせられ、私の方に向けられた粘土のフィギュアは、振り子の柱時計。

まだ着色はされていないが、白いままでもレトロな雰囲気を感じさせる見事な出来栄えであった。

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