お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
彼女は上品な焦げ茶色の長い髪をハーフアップに結わえ、受付嬢だけに許されたオフピンクの可愛らしい制服に身を包んでいる。

開発部に突然現れた彼女に、私以外の社員も注目していて、隣ではエプロンを脱いだ中本主任が頬を赤らめていた。


彼女はファンベル製菓のマドンナなので、その美貌でニッコリと微笑みかけられたら、男性社員は皆、胸を高鳴らせることだろう。

しかし今、彼女が浮かべている微笑みには、総合受付カウンター内にいる時のような朗らかさはなく、どこか挑戦的な感じがする。

社内でナンバーワン美女の東条さんが、なぜか私をライバル視しているのは前々から感じていたことではあるけれど、こうして開発部にまで乗り込んでくるとは、全くもって予想外だ。


椅子を立ち、彼女と向かい合った私は、ぎこちない笑顔を浮かべて「なんですか?」と恐る恐る問いかけた。

すると彼女はスッと笑みを消し、周囲にも聞こえるような声で質問する。


「先ほどある噂を耳にしました。織部さんが高旗専務の恋人で、同棲されているというのは本当ですか?」

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