お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
え……。フィギュアだけ欲しいと言われても、それだとお菓子として売り出せないよ。

うちは玩具屋ではなく、製菓会社だ。

チョコをそのまま食べるのに飽きたなら、自分でケーキやクッキーに加工してくれたらいいのに。

でもそれだと、突き放したような答えで冷たい印象を与えてしまうから、苺や抹茶など、他の味のたまチョコを検討中ですと返しておこうか。

その案は、私の異動前に会議にかけられて、否決されたそうだけど。


無理やり頭を仕事へと切り替えた私であったが、後ろに東条さんの突き刺すような視線を感じるし、背中を流れる冷や汗も止まらない。

動揺する心と指ではうまくメールが書けず、【あ】を連打して、それをそのまま消費者に送ってしまった。


ま、まずい……。


「織部さん、あきらかに焦ってますよね」と指摘する後ろの声も、かなりまずい。

昼休みに入り、開発部から出ようとしていた社員の流れはピタリと止まっていた。

窮地に立たされる私と、口撃を続ける東条さんに、二十人ほどの視線が注がれて、四面楚歌の心情である。

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