お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
けれども開発部の社員は敵ではなく、さっきまでマドンナに頬を染めていた中本主任が、今は私に助け舟を出してくれた。


「東条さん、僕らはまだ昼休みではないんだ。これからミーティングを始めるから、業務外の話は退社後にしてもらえないかな」


彼の手には財布とスマホがあり、ミーティングではないと、きっと東条さんは気づいていることだろう。

それでも「わかりました。お騒がせして申し訳ありません」と言って出ていくしか、選択肢はない。

他部署で仕事の邪魔をしたと非難されれば、社員としての彼女の評価が下がってしまうからである。


コツコツとパンプスの音が遠ざかり、完全に聞こえなくなってから、私はパソコン画面に向けて大きなため息をついた。

しかし、取り敢えずの難から逃れることができて気を緩めかけたのに、今度は中本主任に興味深げに問いかけられる。


「織部さんは、高旗専務の彼女なの?」

「違ーー」


違いますと言えなかったのは、ぎょっとしていたためである。

いつの間にか、室内に残っていた二十人ほどの
社員に取り囲まれていた。
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