お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
「好きだと言ったら、作戦成功に喜ぶだろうね。私を惚れさせて振ることが、彰人の同居の目的だもん。『お前みたいな可愛くない女は好みじゃない。残念だったな』と、勝ち誇った顔で笑いそう」


自分で口にしたことに、不愉快な気持ちになって顔をしかめてしまう。

私が敗者ということで終わるのは悔しいので、やはり告白するのはやめようという方向に心を落ち着かせた。


整列させた小海老をフォークで掻き集め、大口を開けて一度に頬張れば、茜がやけに真面目な顔をして深いため息をついた。


茜のため息を聞いたのは、初めてかもしれない。

いつも前向き思考の彼女なので、うんざりするような長い会議中でも微笑んでいるし、こうして呆れの目を向けてくることもない。


フォークを止めて、「ごめん、怒った?」と茜の機嫌を窺えば、「怒ってない。このままだと絶対に後悔するのにって、悔しく思ってるの」と文句と心配をぶつけられる。


「ねぇ莉子。たとえ振られたとしても、言わないよりマシだと思わない? あの時、告白していたら、今頃は隣で笑っていたかもしれないって、きっとずっと引きずることになるから」

「うん……そうだよね」

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