お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
茜は大切な友達だ。

彼女も私のことをそう思ってくれるから、こうして叱ってくれるのだろう。

それが嬉しくて、「ありがとう」と微笑んだ。

そして、何度も言おうとして失敗し、折れてしまった心に、茜の優しさをペタペタと貼り付けて修復する。

あと一度だけ、勇気を出してチャレンジしてみようという心待ちになれた。


彼女の言う通り、告白せずに終われば、ひとり暮らしのアパートに戻ってから、後悔の毎日を過ごすことになるだろう。

それが嫌なら、想いを伝えるべきである。

たとえ振られたとしても、彰人の気持ちを確かめずに終わるよりは、早く立ち直って前に進むことができるのではないかと、そう思うことにした。


コップに半分残っていた水を一気飲みして、茜に笑顔を向ける。

「今夜、彰人が帰ってきたら告白する」と宣言したら、茜が嬉しそうに笑った。


「それでこそ莉子だよ。頑張って。私は成功すると思ってる。きっと大丈夫だから!」


成功とは、彰人が私の告白を受け入れ、本物の恋人にすると言ってくれることだよね。

いや、それはないでしょう。

彰人が私に惹かれているのだとしたら、もう少し謙虚な態度で丁寧に扱ってくれてもいいと思うもの……。

< 231 / 255 >

この作品をシェア

pagetop