お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
椅子から立ち上がった私は、中本主任に元気であることをアピールしようとする。

両腕を真横に伸ばして肘関節を曲げ、ボディビルダーのようなポーズを作って、ニカッと笑ってみせた。

「ほら、こんなに元気です!」と主張したのに、彼はクスリともしてくれず、「相当に具合が悪いんだね。家まで送ろうか?」と眉を寄せられる。


あの、笑ってくれないと、おどけた自分がものすごく恥ずかしいんですけど……。


その時、誰かに後ろから、ポンと肩を叩かれた。

私が振り向く前に、「高旗専務?」と中本主任が驚いたように呼びかけたので、肩の上の手が誰のものなのかを知る。


途端に心臓が大きく波打ち、強い緊張に襲われる。

恐る恐る肩越しに振り向けば、眉間に皺を寄せた彰人が、通勤用の黒い鞄を手に立っていた。

「仲がいいんだな。随分と楽しそうなことで」という声には、不愉快そうな響きが感じられる。


遊んでいたわけじゃないんだけど……と心の中で反論しつつ、なぜ彰人が開発部に来たのかと疑問に思っていた。

私がこの部署に異動してから、彼がやって来るのは初めてのことである。

「専務、なんのご用でしょう?」と末端の部下として、取締役の地位にある彼に敬語で問いかけた。
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