お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
いや、上司と部下という関係性よりも、ギクシャクしていることが原因で、無意識に敬語を使ったのかもしれない。

昨日も今朝も、喧嘩しているわけではないのに、彰人とまともな会話をしていない。

告白しようとして、できずに悩んでいる私なので、気軽に話しかけられないわけだけど、彰人も口数が減っている気がする。

私をからかうこともなく、素っ気ない態度を取るから、二日間ほとんど会話がないのだ。


体ごと振り向いて彰人と向かい合ったら、半歩ほどの距離が近すぎる気がして、私は足を引いた。

すると、彼の眉間の皺がさらに深いものとなり、腕を掴まれて引き寄せられる。

鼻先には彼のネクタイがあり、目を丸くした私が、「専務……?」と問いかければ、彼は「莉子」と名前で呼び返した。


「帰るぞ」

「へ? 私はまだ仕事中でーー」


すると立ち上がった中本主任が、すかさず口を挟む。


「高旗専務、織部さんが午前中から体調が悪そうなんです。連れ帰っていただけると安心できます。仕事に関しましては、私が引き継ぎますので問題ありません」


「元気ですよ!」と言ってもふたりに無視され、彰人は「わかった。よろしく頼む」と中本主任との会話を終わらせてしまった。

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