お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
私の体から力が抜けるのがわかったのか、彼は手首の拘束を解いてくれた。

ベッドランプが灯されると、薄暗い寝室で、彼と私がオレンジ色の淡い光に包まれる。

私に跨ったまま、ワイシャツを脱いでしなやかな筋肉美を披露した彼は、前髪を掻き上げてから妖艶な笑い方をした。


ムードは……あるみたい。


溢れ出る彰人の色気にやられて、のぼせてしまいそうなほどに、私の顔は火照る。

ゴクリと唾を飲み込めば、彼に抱かれたいという気持ちが急激に膨らんで、口からは熱い吐息が漏れた。


私の心の変化に気づいたかのように、彼は嬉しそうにフッと口元を緩める。

ゆっくりと近づいてきた端正な顔は、五センチほどの距離で一度止まった。

「莉子……」と呼びかける声が唇にかかり、私は下ろそうとしていた瞼を上げる。

すると、視線が交わった直後に、唇を強く押し当てられた。


情熱的で、それでいて優しい舌使いに、私の息はすぐに熱くなる。

服を脱がされた私は、全身をくまなく愛されて、涙目になるほどの快感に溺れていた。


「彰人が、好き……」


これまで何度も言おうとして、躊躇してきた言葉が、今は自然と口から漏れる。

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