お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
彰人とは、高旗専務のことだ。

なぜ名前で呼んでいるのかというと、同居して初めての休日に交わした会話が理由である。


その日は特別な予定もなく、私たちはリビングで思い思いに過ごしていた。

私はテレビ横のオープンラックに、その日新しく開封した、たまチョコフィギュアを飾っていて、彼はカウチソファに寝そべり、サッカー中継を視聴中。

フィギュアコレクションを眺めてニンマリし、『専務、お昼ご飯はどうしますか?』と私が問いかけると、彼が一拍置いてから、『家の中で専務と呼ぶな。仕事中のような気分で休まらない』と言ったのだ。


それで、『彰人、昼食どうする?』とわざわざ聞き直したのに、『呼び捨て、ため口かよ……』と文句を言われた。

そっちは私のことを名前でさえ呼ばず、『おい、お前』と言うくせに、不満があるようだ。

亭主関白な昭和男かとツッコミたくなるような、面倒くさい男である。


その後は当然のごとく口喧嘩になって、私からも彼の横柄さに不満をぶつけつつ、『彰人』と連呼してやったら、呼び捨てが定着してしまった。

最初は睨んできた彼だけど、翌日には慣れたようで、さん付けしろとは、もう言われない。


呼び捨てると立場や力関係が対等になった気がして、少しは暮らしやすくなったように思う。

俺様で常に偉そうな彼に対する、私のささやかな抵抗といったところだろうか……。

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