お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
その手を辿って飲み物を差し入れてくれた人の顔を見ると、三班の営業マンで、私の二年上の先輩社員、成田さんだった。


「織部さん、こんな土壇場にごめんね。会議までに終わりそう?」


中腰でパソコン画面を覗き込む彼の眉は、ハの字に下がっている。

差し入れのカフェオレを手に、「これ、ありがとうございます。いただきます」と、ひと口飲んでから、彼の心配を払おうとした。


「成田さんのおかげでうちの班の売上が伸びたんですから、謝らないでください。それに、あと少しで終わります。このくらいの変更、朝飯前……いえ、昼飯前ですよ。昼休みも普通に入れそうです」


顔の横で握り拳の親指を立て、おどけてニカッと歯を見せたら、彼が吹き出した。


「織部さんは可愛いな」


営業マンらしく褒め上手で爽やかな笑い方をする彼は、私の肩にポンと手を置いた。

「仕事が早くて助かるよ。ありがとう」とストレートに感謝を伝えてくれるから、私の頬は自然と緩む。

成田さんは、優しくていい人だ。

ことさらにそう感じるのは、心の中で彰人(あきと)と比較しているからだろう。
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