お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
甘ったるい話し方で、「私も成田さんのお力になりたいです。なんでも手伝いますので言ってください」とボディタッチをしながらシナを作る彼女と、困り顔の成田さん。


「でも小南さん班が違うし、織部さんに頼んだ方が確実で……あ、いや、もう終わりそうだって聞いたから、大丈夫。ありがとう」


ふたりの会話を聞き流し、私はキーボードに指を置いて仕事に意識を戻した。

お昼休みは普通に一時間取りたいから急いでいるというのに、話しかけないでと言いたい気分だった。


それから三十分ほどが経ち、無事に追加資料を完成させた私は、小さくガッツポーズしてから、サイフとスマホを手に立ち上がる。

振り返ると、斜めに机を八つほど挟んで茜と視線が合った。

彼女の手にも財布がある。


いつも一緒にというわけにいかないが、『今日はふたりでランチに入れるね』という気持ちを視線で交わし、私は先に廊下に出た。

茜もすぐに追いついて、並んで一階の社員食堂に向かう。
< 65 / 255 >

この作品をシェア

pagetop