お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
「いつもの生意気さはどこへいった。恥ずかしがるふりをしないで、見たいなら見ていいぞ」


「ほら」とわざとワイシャツの合わせ目を広げる彼に、私は悔しくなって頬を膨らませる。

「見たくない」とひと言返せば、「へぇ。じゃあ、触りたいのか?」とさらにからかわれた。


「あっ!」と驚きの声をあげたのは、手首を取られて、その胸に押し当てられたからだ。


張りのある肌の下の筋肉は逞しく、艶かしい色気があって、まるで私から女の顔を引き出そうと企んでいるかのようだ。

この胸に抱きしめられたら……と、頭が勝手に彼との情事を想像してしまう。

自分が彼に抱かれる映像が浮かんできて、ハッとして首を横に振ってそれを消し、『なんで!?』と心の中で叫んでいた。


もしかして私って、欲求不満なの?
ここ数年、そういうことにはご無沙汰だったから?

いや、違うよ。私はいやらしい女ではない。
彰人の攻撃力が凄まじから悪いんだ。


彼に触れている右手に意識を持っていかれながらも、心の中で必死に言い訳していたら、彼が「ん?」となにかに気づいたような声を出した。
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