10歳の年の差はどうやって埋めますか?
「アプローチなんて掛けられてないよ。」

まあ、この際、清水君の事は別としよう。

「悠希はさ、よく食事に誘われたりしない?」

「それはうちの会社ではよくある事よ。でも私は残業時間が事務でも長い方だから、いつもお断りしている。」

「それは若い時だけ?今も?」

「そうね、割と今でも声は掛けられるかな。断られるのが分かっていると思うんだけどね。しつこい人もいるわね。」

すると総は溜息をついた。

「やっぱりその部下の子に見張ってもらおう。自覚が無さすぎる。」

そしてまた私に視線を合わせた。

「とにかく浮気は厳禁でお願いします。そして…。」

私が慌てて反論しようとした口を、総の人差し指が塞ぐ。

「将来の事…、俺との結婚も頭の片隅で良いから考えておいて。」

私は身体から力が抜けた。

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