10歳の年の差はどうやって埋めますか?
総が言いかけた言葉を私は遮った。

「分かっているから。頭では分かっているんだけど、つい思ってしまうだけだから。頑張って自分の中で納得しようとしている最中だから。」

総はそれを聞くと、黙りこくってしまった。

そして私の手をぎゅっと握った。

美術館が見えてきた。

いつも回っている近くの美術館に比べると、随分建物が大きい。

きっと全部を回るのに、いつもの何倍かかかるに違いない。

私達は入口でいったん止まると、二人でその建物を見上げた。

どちらかが合わせるわけでもなく、こんな時も同じ仕草をしてしまう私達。

入場券を総が買ってきてくれた。

総は今回に関しては、すべて代金を払ってくれている。

交通費が掛かっているので、入場券ぐらい私が出したかったが、それを総は頑なに拒んだ。

「男として当たり前だから。」

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