イジワル上司にまるごと愛されてます
「もちろん、私はそれを心がけていたわよ」

 敦子はつんと澄まして答えた。

「そうですか」

 敦子からこういう皮肉な言葉をかけられることはたまにあったが、ここ数日――正確に言えば柊哉が帰国してから――あからさまに悪化しているような気がする。

 来海は楽しいことを想像して気持ちを切り替える。

(あ、そうだ、早くランチタイムにならないかな。茉那とおしゃべりした~い)

 とはいえ、そんなふうに思うときに限って、時間はなかなか過ぎてくれないものだ。

 まずは秋の企画案を考えようと、来海は取引のあるメーカーのオンラインパンフレットやメーカーからの提案書に目を通し始めた。そのうち、パソコンのモニタの下にメールの受信を知らせるマークがついた。メールソフトの受信ボックスを確認すると、待ち望んでいたメールが届いている。

(やっと来た!)

 来海は安堵しつつメールをクリックして開いた。東南アジアの小さな村にある手工業グループからのもので、本文はぎこちない英語で書かれている。
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