蜜月オフィス~過保護な秘書室長に甘やかされてます~
「そう言えばアレ、どうなったんだよ」
「どうにもなってませんよ」
「そっか」
中條さんはわずかに肩を竦めただけであとは何も語らず、兄もその一言で理解したらしくそれ以上何も聞かなかった。
「えっ……ちょっと……なにそれ。私にもわかる様に……」
「嫌です」
中條さんに即答で拒否されてしまった。
「……べっ、別にいいですけど」
面白くない気持ちをぶつけるように、私はもくもくとパスタを食べ始める。
はっきり嫌と言った中條さんに食い下がる勇気などないけれど、だからと言って興味が失せた訳ではない。
“アレ”って、いったいなんですかっ!
中條さんに彼女がいるとか、好きな人がいるとか、そんなことだろうか。
気になって気になって仕方がなくて、大好物のパスタがいつもより味気なく感じてしまった。
+ + +
麻莉さんの「ありがとうございました!」という朗らかな声に見送られながら、私は中條さんと共に店を出た。
「お腹いっぱいで、ちょっとだけ眠いです」
「そうですか。それなら時々様子を見に行って差し上げますね。もし目を開けたまま眠っているようでしたら……」
そこで言葉を切った代わりに、中條さんが微妙に口角をあげてみせた。