蜜月オフィス~過保護な秘書室長に甘やかされてます~
「花澄ちゃんばっかりずるいですよ!」
「そうですよ! 今度は私たちもお昼ご飯に連れて行って下さい!」
「どこにでもついて行きますから!」
私にくっついていたばかりに一歩遅れを取ってしまった久津間さんも「私も一緒に行きたいです」と慌てて中條さんを取り囲む輪の中へと入っていく。
「俺と一緒に食事をしても楽しくありませんよ。今日だって副社長とは仕事の話ばかりで、花澄さんはつまらなかったと思いますし」
「良いんです。私たちは中條さんと一緒にいられるだけで幸せですから!」
「……困りましたね」
中條さんの人気は相変わらずである。
言葉通りちょっぴり困った顔をしているけれど、女性に取り囲まれているその状態を眺めていれば、内心満更でもないんじゃないかと思えてきてしまう。
ひねくれた考えだと分かっているけれど、一度そう思ってしまえばどんどん面白くなくなっていく。
不機嫌に睨みつけていると、中條さんと目が合ってしまった。
彼からも睨まれるかと思ったけれど、そうではなかった。
切なげな瞳でじっと見つめ返されてしまい、私は逆に狼狽えてしまう。
二十八階に到着し、私は女性社員たちと中條さんに続く形でエレベーターを降りた。