オオカミ弁護士の餌食になりました
「……見てたんですか」
「目に入ったんだよ。夜の国道沿いを早歩きで並走する二人連れは、いやでも目立つ」
そう言って小さく笑う。香坂さんは困っている私を見て、彼氏のふりをして助けてくれたのだ。
ふと真顔になり、彼は大きな目を私の手元に向けた。
「相変わらず、みたいだね」
私はまだ微かに震えている自分の手首をそっとさすった。
「そうみたいです」
曖昧にうなずく私に、香坂さんは少し驚いたような顔をする。
「恐怖症のこと、自分でわからなかったのか?」
「ここのところ症状が出ないから治ったのかなと思ってたんですけど、他人に触られる機会がなかっただけなのかも」
「……」
考えるように黙り込む香坂さんから目を逸らし、まだ握られた感触が残っているそこを見下ろす。