オオカミ弁護士の餌食になりました


 気が付くと、最後のページになっていた。

 パソコン画面には文章作成ソフトで作られた契約書のひな型が表示されている。

 これをそれぞれの企業向けに書き換えて内容を確認していたはずなのに、途中からちっとも頭に入っていなかった。

 ダメだ。やり直し。

 こんなにも目が滑るのは、なにも五月の穏やかな日差しが窓から注いでいるせいだけではない。

 マウスを操作しながら、私はため息をついた。

 気を抜くと、意識が飛んでしまう。香坂さんの部屋で過ごした、三日前の夜に。


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