オオカミ弁護士の餌食になりました

 室内を見回していた彼は、私に目を留めて小さく笑う。

「君の驚く顔が見たかったんだよ」

 悪びれずにそんなことを言いながら持参した資料やファイルをブリーフケースから取り出す彼は、これから数ヶ月にわたりここで専門的な企業調査を行うことになる。

 私が勤めるホダカ・ホールディングスは、設立六年目で従業員が三十七名というベンチャー企業ながら、食品系の中小企業を買収、すなわちM&Aを行うことで成長してきた上場企業だ。

 買収といっても「身売り」や「敵対的買収」のようなマイナスのものではなく、優れた商品を扱っているにもかかわらず経営難に陥っている小さな会社や工場などをグループ化する、救済型M&Aを実行してきた。

 その結果、グループ企業は二十を超え、連結従業員は千二百人にのぼる。


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