結婚のその先に
現実と未来
「失礼します」

結婚式を1週間後に控えていた栞菜は翌日から仕事を休む予定だった。体調を崩さないようにするためや式の用意がある。

休んでいる間の啓吾のスケジュールを伝えるために取締役室に入るとそこに翠がいた。

「あっ」
思わず声をあげると翠はにっこりと笑った。

「お久しぶり。今日から1ヶ月の期間限定で本社に勤務します。よろしくお願いします。」
翠の言葉に啓吾が栞菜のとなりにたつ。

「来る予定だった社員が盲腸になって、立川にかわったんだ。美咲の結婚式でも大阪の出張のときもいたんだ。覚えてるか?」
「…はい。」
「俺とも良輔とも同級生なんだ。大学の。ニューヨークの支社でも一緒に3年くらい働いたんだ。」
「そうですか」
翠は栞菜を見て微笑んだままでいる。
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