結婚のその先に
「いつの間にか大人になるものだな。」
栞菜の父は強く栞菜を抱き締めた。

「こんなに大きくなったか…」

栞菜の父に近づき啓吾は話しはじめる。

「もうすぐ彼女も母親になります。会長はおじいちゃんですよ」
啓吾の言葉に栞菜の父は目を赤くした。

「良輔が、亡くなってからはじめて夢にでてきたんだ。小さな男の子と手を繋いで。良輔が…。」

栞菜の父は啓吾を見ると栞菜を抱き締めたまま「娘をよろしくお願いします」と頭を下げた。

「はい」
啓吾は栞菜にその姿を見せたいと思った。

栞菜、ちゃんと栞菜は愛されてるよ。
< 258 / 279 >

この作品をシェア

pagetop